花はさくら木

花は桜木、人は武士、柱は檜、魚は鯛、小袖はもみぢ、花はみよしの  

花はさくら木

花はさくら木

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国家をまたぐ謀略あり、誇りと女をかけたチャンバラあり、身を焦がす恋愛あり、トドメに大阪地下の巨大要塞、全てを終わらせた主人公は家柄も役職も捨て恋人ともに去っていく、エンターテインメントにも程があるだろう、読み進めるのが楽しすぎて終始引き込まれた
……つくりはまっとうすぎるほどまっとうな時代劇、江戸幕府十代将軍徳川家治田沼意次がその手腕を振るった時代、大阪・京都を舞台として朝廷・幕府・大阪商人・朝鮮の四つ巴の戦いが始まる
家老・田沼意次の命を受けた青井三保は大阪へ向かうがその戦いの中心には彼が恋した女性、菊姫がいて……という内容
とかく生真面目で仕事か恋かで悩みまくる主役の青井とは対照的に、もう一人の主役、田沼意次が政治の世界で汚れながらも洒落のきいたイカす中年として描かれてるのが良い、歴史の教科書では賄賂政治家としかかかれない田沼だが、本当はこうだったのかもしれない、ああだったかもしれない、そういった一面が描かれ、惹かれるのは時代小説の醍醐味ですね