のぼうの城

『この城、敵に回したが間違いか』

のぼうの城

のぼうの城

l
登場人物の性格付けが現代的、それでいて歴史用語も少なく、ひとつの事実に関して現代からの視点の解説が入り、読み進めるのが易しい
「花はさくら木」もずいぶん読みやすかったが、こちらはそれを上回る
 
圧倒的兵力差に立ち向かう少数の兵というのは良くあるシチュで、私はコレが大好物なんだけれども、大抵コレに付随する『戦に死するは武士の華』って思想を中心に持ってこないのがミソか
成田氏というと女傑・甲斐姫が挙げられるがそれもまた脇役程度の出番とし、恋愛にもちこませない
こういった「定番」を廃して現代的な人物像の戦国武将の物語を作ったのは面白いと思う
(こういう定番ってのは実写化されたときもっとも強調されるポイントですよね、大振りせずに確実に当て、制作費を回収するためのリスクマネジメントなんでしょうが、つまらなくなる要因の一つですね)
  
ところでこれそんなに面白かったか、や、分かりやすさとカタルシスの大きさは良かったんだけど、展開がいかにもご都合で、時代劇の皮被った少年漫画を読んでいる印象、私の中で近いのは「ぼくら」シリーズですかね、主人公がもっと苦しめられる悲壮感(これも意図して廃されたのかもしれない、目指したのは明るく楽しい合戦劇か?)、のぼうがなぜ農民達に慕われるか、描写が足りなかったようにも思う
匂い立つものが無い