帝都物語 神霊編 魔都編

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明治40年・東京。
渋沢栄一男爵邸に、官僚・軍人・財界人、果ては陰陽師までが集いある秘密会議が開かれた。
その内容は帝都・東京を、物理的・霊的に磐石たる都に作り変えること、帝都改造計画を話し合うことだった。
誰もが日本の首都の未来を真剣に考える中、陸軍省よりやってきた加藤保憲少尉だけが過去の怨念を甦らせようとしていた。
 
1億4000万の借金を1億5000万の印税で返済したという、著者の波乱の人生を偲ばせる怪奇小説
数百年前の怨念を背負い、東京を壊滅させようとする加藤保憲とその計画を阻止しようとする者達の戦いが繰り広げられるのだけれど、後者の面子のほとんどが実在の日本の文学者・物理学者だったりする(前者の陣容は大陸…中国からヨーロッパ、加藤の活動が独裁者ヒトラーの誕生に影響している)
また話の期間も明治後期〜昭和と長期にわたり、日本史に残る事件にも霊的に関わってくるので、日本の近代史を舞台にした歴史小説として読んでみると面白い。
 
実在の事件を題材にしている、ってそれだけ読む上での期待感脳内補完度が段違い。
遠い過去は伝えられるだけで証明できない、今の僕の地続きの時間に事実より奇なコトが存在したかもしれないというワクワク感が楽しすぎる。
 
都市に仕込まれた霊的防壁機構とソレを巡る戦いって言うとCLAMPの『X』を思い出します、スーパーCLAMP大戦はツバサに受け継がれてしまったし再開は難しいだろうナァ。