エヴァンゲリヲン 新劇場版:破

映像に関しては言うに及ばず、見ろ、見てくださいお願いします、見ずに語ることなかれ、そんな出来。以下ネタバレ
 
面白かった!大枠でTV版をなぞりながらも、既存キャラの方向性がポジティブな方向に向き始めて
ストーリーが大きく変化、中盤ではまさかの展開で観客を絶叫させつつ、
ラストのゼルエル戦で大興奮の大燃えバトル、スタッフロール後のCパート・次回予告でもう一波乱起こしてシメ。
ごちそうさまでした!
Qが楽しみでならないッ!
 
■映像について 
○新サハクィエル戦での市街地のギミックがスゲエ。
舞台がエヴァ使徒と戦うための要塞都市って設定を全力で活かしたギミックだった!
巨大なエヴァが市街地を飛んだり跳ねたり全力疾走したりする上でその動きを捉えるギミックはなんだっつってその回答。
発想が大金かけた大作のものじゃないッ、アイディア一本の質で物量を覆すB級の発想、これ考え付いたとき製作陣は爆笑してたんじゃないだろうかw
 
○全てがエヴァのために用意されたステージを駆け抜ける巨体は文句なしに格好いい、それと対比して新サハクィエルの展開後のデザインがキモい、とにかくキモい、まさに悪夢。
 
 
■レイについて
○前半から中盤にかけてはシンジとゲンドウの架け橋。
中盤のどんでん返しで一旦身を潜め、終盤においてシンジの覚醒のキーになる。
父子のかすがいにプラスしてエヴァに存在を仮託する人々をエヴァから解放するような動きが見えます、加えて自分と他者の繋がりだけでなく、他者と他者と繋がりにも眼を向けるようになっていたり、視野が広くなってる?
 
『私が死んでも代わりはいるもの』→『代わりなんていない!』
で、レイを無理やりサルベージする流れはエヴァっつーかグレンラガンだ。
ここでゼルエルを打ち破りレイを救いに向かわせたのが、エヴァ=母親の暴走でなく、シンジの意思ってのがでかい。
 
翼をくださいエヴァで流されるとスーサイドソングに聞こえますね。
 
■アスカについて
○ぶっちゃけ別人。
面倒くさい要素を取っ払ってスッキリしたツンデレに変化。
キーであった加持さんへの思慕も捨て去り、描写はシンジに対するものに限定されました。
 
『惣流』から『式波』に名前が変わったのはこの大きな性格な違い+役割の変更、からでしょうか。
 
○今回の役割は友人と犠牲。
ミサトへの電話はどう見ても死亡フラグだったんですが、畜生、ほんとに死亡フラグだった!
三号機パイロット=アスカ、配役を変えてTV版と変わりなく実行される第九使徒(新バルディエル)との戦い、捕食シーンの凄惨さと『今日の日はさようなら』の不調和ったらない。『他人の話すのがこんなに楽しいって知らなかった そっか、私、笑えるんだ』
ってセリフが、ツンデレの氷解シーンとしては極上物だけに…。
  
■マリについて
○期待の新キャラ、冒頭から五号機で使徒とハデに戦っていますが、彼女自身の役割はほとんどありません。
少なくともTV版をなぞっている今作では多くの人員が整理され物語を構成しているのですが、彼女はその隙間にすら入っていけていない。
終盤の登場もTV版のアスカと加持さんの役割を肩代わりしたようなもので、彼女固有の役割・性質が一切見えてきません。

○マリがすげー浮いてるように見えるんですよね。
巨乳アピール、『空から女の子が降ってくる』シチュエーション
古典的メガネメガネ、使徒との戦闘を楽しむ性質、厨二ロボアニメじみたエヴァへの対応、語尾に「にゃー」とつける口調、と
 
す っ げ ー あ ざ と い
エヴァの世界において異質ともいえる浮きっぷり。
登場人物のほとんど全てが抱える暗い面を未だ一切見せず、あまりにも軽くあまりにも自由に飄々とエヴァの世界を渡り歩く彼女、謎解きはラストに持ち越しのようです。
八号機出るらしいからその辺のパイロットじゃないかね。
 
綾波、式波、真希波、と主要三キャラに『波』という苗字がついたのだけれど、これ『破』と『波』をかけたシャレで、特に意味は無いんじゃないかなぁと。(全ての名前を駆逐艦だが護衛艦にまとめるという意図も当然ある。)
あるいは、名前に隠された意味の隠蔽。
真希波=マキナ、作劇の古典的手法である『舞台の外から神様がやってきて物事を解決する』という言葉、から獲られたのかもね。
 
巨乳なのはいいことだと思います。

 
以下設定語り

■ループ設定について
渚カヲル
前作においては『今回も君は三番目なんだね』とシンジに対してループ設定を思わせるセリフをはいた彼ですが、
今回もCパートで登場、暴走するシンジを止め『今度こそ、君を幸せにしてみせる』と宣言。
彼の視点は、エヴァの世界に生きる登場人物の視点ではなく、作り直された世界を見る観客の視点です。
 
新劇場版は旧劇場版ラストで神になったシンジが、LCLから人類・使徒を再生したループ世界という話が前からありました。
何度も何度も25-26話(旧劇場版)を繰り返し自分が幸せになれる世界を探したシンジ。
なんらかの事情でリセットを免れる領域=月に移動したカヲルはシンジの幸せ探しに介入し、彼単独では行きえないハッピーエンドを見つけるシ者なのかも。
 
他ループ根拠としては
・序に登場した人類補完計画経過報告書のNoがTV版より明らかに進んでいる
・レイとシンジの接触について『"今回は"もっと接触させてみるか』というセリフ。
作中の出来事を予言しているとされる『死海文書』、これ前のループで経験した出来事を誰かがループの影響を受けない場所=月or永久凍土に残したものじゃないか、バージョン違いがいくつかあってひとつ前のループの記録であったり、何十週も前の記録だったり、コレの収集・解析の差がゼーレとネルフの持つ情報の差なのかも。
 
 
ループ前提の考えとしては、
・四号機、五号機はTV版から存在を示唆→地球製。
マークシックス(六号機)は月からやってきた、多分八号機も月で造ってる。
六号機=六番目のエヴァ、ではなくて六代目の月面製エヴァ、なのかも、マークシックスって他とは違う言い回しもそういう意味なら通る。