百舌の叫ぶ夜
- 作者: 逢坂剛
- 出版社/メーカー: 集英社
- 発売日: 1990/07/20
- メディア: 文庫
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某日、夜の新宿にて爆弾テロが発生。
死者は二名、爆弾を持ち歩いていた右翼幹部、爆発に巻きまれた公安刑事の妻。
10日後、能登にて記憶を失った男が目を覚ます、彼は"百舌"、失った記憶を求め爆弾テロの真相へと近づいていく。
公安との折り合いの悪い捜査一課の刑事。
妻を失った公安刑事。
記憶喪失のヒットマン。
この三者の視点をメインに据え、錯綜する人間関係を追っかけるハードボイルド推理小説。
絡み合った人間関係が後半に行くにつれて解けていくのは爽快、後半のどんでん返しも面白かった。
読み終えた後に考えてみれば、双子も、記憶喪失も、写真に写った人物もミスリードの手法の範疇なんだけど、叙述トリックの段階で隠蔽してるもんで気付かないんだよなぁ、うまい。
国際テロとか政治家がどうのこうのというあたりで、"結局黒幕が更なる大物に唆されて事件起こした"って白ける展開の可能性を感じさせたんだけど、黒幕の私的な憎悪、そしてその憎悪の源泉の有様が分かりよく描かれていたもんで腑に落ちる結末を示してもらえたと思う。
納得超大事。いがったー。