ランボー

『Its over』
『Nothing is over!Nothing!』
 

ランボー [DVD]

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ベトナム戦争から7年。
社会に溶け込めない戦争の英雄ランボー
なにも悪いことしちゃあいないのに警察に屈辱的な虐待を受け、大爆発、深い山を舞台にベトナム戦争の地獄を再現することになる。
 
物語の4/5はクリーチャー(ランボー) VS 警官のパニック映画のように見える。
警官達の視界の外から忍び寄り拘束、一歩動けば罠が働いて制圧。
一度調子に乗ったランボーの圧倒的な戦力を見れば仕方ないかも。
ただこの印象は終盤、抵抗を終えたランボーが、かつての上官にその心情を吐露するところで変わる。
 


『俺は戦争に勝つためにベストを尽くした、だが戦争が終わって国に戻れば空港に蛆虫みたいな連中が、ぞろぞろといて訳のわからない抗議しやがる』
 
『戦場では仁義があった、皆で生き残るため助け合った』
 
『戦場では100万ドルの武器を扱わせてくれたのに、ここでは警備員の仕事もない、惨めだよ。』
 
『何も終わっていない、俺にとって戦争はまだ続いているんだ』

 
上官にしがみつき泣きながら話すランボー
命令を受け、祖国を勝たせるために懸命に働いたのに帰ってみれば非難される報われない英雄。
戦友たちが皆、亡くなって寂しい。
兵士として自負を社会の誰にも理解されないのが悔しい。
戦争を知らずに兵士を非難する市民が憎い。
全編を通して寡黙なランボーは、最後の最後、一気にこの感情を吐き出すためのタメ、といってもいい。
この映画が持つメッセージ性は全て最後の15分、ランボーの慟哭の中にある。
 
ウサ晴らしのような仕打ちをして仕返しされたにもかかわらず容赦なくランボーを殺しにかかる警察。
それと対比して何十人もの相手をしながら誰一人殺していないのが、ランボー
殺意のいきかう場が戦場として、社会の中に現れた戦場で『誰も殺さない』選択をしたのが、彼なりに社会の一部であろうとした葛藤なのかも、切ね。
 
・教訓
人の飯の邪魔をしてはいけない